2011-2014年度大学院演習「市島春城文書の研究」

2011年度から2014年度まで、早稲田大学中央図書館所蔵市島春城文書を解読しました。市島文書は、市島春城(謙吉)の日記・関係書翰・随筆等を含む膨大な文書です。従来まとまった目録が存在しなかったこともあってその存在自体広く知られてはおらず、日本近代史研究のなかでも充分に活用されてきているとはいいがたいものがあります(日記の一部は『早稲田大学図書館紀要』に毎年翻刻が掲載されていますが、それは全体から見ればごく一部に過ぎません)。しかし近年、早稲田大学図書館「古典籍総合データベース」上にて同文書は電子化公開され、その全容が明らかとなり、アクセスも格段に便利となりました。本演習ではこの「市島春城文書」を解読することにより、近代のくずし字文書の解読能力を習得するとともに、大学史研究、大隈重信研究、政党研究など多角的な視座からその活用を図ることを目標としました。また、時折、本文書に関連する近年の研究文献のレビューを交えることによって、本史料群を有効活用するための視点・方法論をブラッシュアップさせることを試みました。

◆2011年度(幹事:西腰周一郎)
※読んだ史料
・市島春城『菰月蘋風楼日録』『東京専門学校処務日録』
・市島春城旧蔵諸家書翰(矢野竜渓7通、犬養毅9通、織田万2通、町田忠治1通、江木翼1通、中橋徳五郎1通、寺崎広業1通、岡松参太郎1通、黒川真道1通、尾崎行雄2通、波多野伝三郎4通、島田三郎3通、島田孝之2通、加藤政之助1通、沼間守一(福地源一郎宛)1通、志賀重昂1通)
※合評会で取り上げた研究文献
・稲田雅洋「自由民権運動研究の視点と方法」(『自由民権』24、2011年3月)
・大日方純夫「『自由民権』をめぐる運動と研究」(『自由民権』17、2004年3月)
・大日方純夫「民権研究再考―研究の現状と課題―」(『自由民権』10、1997年3月)
・牧原憲夫「民権と民衆―二項対立図式を超えるために―」(『自由民権』10、1997年3月)
・牧原憲夫「民権運動と『民衆』―ひとつの問題整理―」(『自由民権』8、1995年2月)
・季武嘉也ほか『日本政党史』(吉川弘文館、2011年)
・勝田政治『小野梓と自由民権』(有志舎、2010年)
・安田浩『近代天皇制国家の歴史的位置』(青木書店、2011年)
・伊藤之雄『伊藤博文をめぐる日韓関係』(ミネルヴァ書房、2011年)
※その他
・昼食会3回開催
・宮内庁書陵部特別展示会観覧

◆2012年度(幹事:西腰周一郎)
※読んだ史料
・市島春城『朝野雑載』巻1-巻4
・市島春城旧蔵諸家書翰(志賀重昂3通、神鞭知常1通、藤田一郎(酒井宛)1通、肥塚竜1通、牟田口元学1通、小川為次郎6通、牧野謙次郎3通、松平康国2通、松平頼寿1通、近衛篤麿2通、市島謙吉(中野礼四郎宛)1通、中野武営1通、浮田和民4通、巽来治郎9通、角田真平2通、角田浩々歌客3通、福地源一郎2通、岡田良平1通、饗庭篁村1通)
※合評会で取り上げた研究文献
・安在邦夫『自由民権運動史への招待』(吉田書店、2012年)
・大日方純夫『自由民権期の社会』(敬文舎、2012年)
※その他
・昼食会3回開催
・青山霊園散策開催(文学部日本史コース、跡見学園女子大学と共同)

◆2013年度(幹事:西腰周一郎)
※読んだ史料
・市島春城『朝野雑載』巻5-巻7
・市島春城旧蔵諸家書翰(饗庭篁村3通、木村正辞4通、添田寿一1通、田中直次郎1通、有賀長雄6通、久米邦武2通、吉田東伍3通、三上参次1通、池田晃淵1通、朝河貫一2通、物集高見3通、重野安繹2通、田中義成3通、和田英松2通、服部宇之吉2通、岡田正之2通、萩野由之3通、稲葉岩吉1通、関根正直2通、松本愛重1通、田中光顕6通、徳富蘇峰1通、笹川臨風2通、新村出1通)
※合評会で取り上げた研究文献
・箱石大編『戊辰戦争の史料学』(勉誠出版、2013年)
・大日方純夫『維新政府の密偵たち』(吉川弘文館、2013年)
※その他
・昼食会3回開催

◆2014年度(幹事:渡辺桂子)
※読んだ史料
・市島春城『鶉居録』『北海銷夏録』『涓々録』『走馬灯』『雅俗相伴書』『雅三俗七録』『盛夏録』『凌暑録』『寸陰換璧録』『擁炉漫筆』『如是我聞』『二酉誌』『牛荘漫録』中の重要箇所
・市島春城旧蔵諸家書翰(内藤湖南6通、内藤久寛2通、日下部鳴鶴6通(うち1通は重野安繹宛、1通は杉山令吉宛、2通は佐藤硯湖宛)、福羽美静(高田早苗宛)1通、野口寧斎(市村宛)1通、坪内逍遥1通、幸田露伴3通、梶田半古1通、野口親(佐藤宛)1通、小杉榲村(今泉定介宛)1通、萩野由之1通、差出人不明(今泉宛)1通、象荒生1通、中村蘭台1通、幸田成友1通、杉山礼吉1通、三条実美(宛先不明歌箋)1通、野崎左文(幸田露伴宛)1通)
※その他
・昼食会1回開催